日帰り手術白内障手術
日帰り白内障手術について
白内障では、一度濁ってしまった水晶体は元に戻らないため、その水晶体を取り除き、人工の水晶体(眼内レンズ)と取り換える手術を行います。目の水晶体を取り替えるというと、大変な手術と思われるかもしれませんが、切開する大きさは約2.4mmで、多くの場合縫合する必要もなく、10~15分で終了するものです。点眼による麻酔薬で痛みもほとんどなく、日帰りで行うことができる手術です。
白内障についてはこちらのページもご参照ください。
白内障のページ白内障は視力が低下し、日常生活や仕事などにも支障をきたしてしまいます。また、白内障が進行すると、患者様によっては、水晶体が硬くなってしまい手術が難しくなる場合や、緑内障の発作の可能性がある場合、また眼内で溶け出して炎症を起こす場合などがあります。白内障と診断されたら定期的に眼科を受診し、医師と相談の上、手遅れにならない時期に手術を行うことをお勧めします。
白内障の手術法について
術式および手術法
黒目のふちを2.4mm切開します。
そこから超音波チップと呼ばれる細い器具を挿入して、超音波により濁った水晶体を砕きます。砕いた水晶体はそのまま吸い出されます(超音波水晶体乳化吸引術)。
その後、眼内レンズを挿入し終了です。手術時間は10~15分程度です。
※白内障が進行し核が硬くなって砕くことが難しい場合は、水晶体の核を丸ごと取り出すこともあります(水晶体嚢外摘出術)。その場合、切開部は10~13mmと大きくなります。
麻酔方法
局所麻酔(点眼)で行います。点眼するとすぐに麻酔の効果が現れます。水晶体自体にも痛覚はないため、痛みはほとんどありません。ただし、痛みに特に敏感な方や、高度な手術を行わなければならないときなどは、注射による麻酔を行う場合もあります。
手術の効果
白内障手術では、他に目の疾病がない場合、良好な視力を得ることが期待できます。
ただし、視力の回復には個人差があります。角膜や網膜に異常がある場合は、視力が出にくいこともあります。また使用する眼内レンズによって、手術後も眼鏡が必要になる場合があります。その際には約1か月後に眼鏡を調整します。
眼内レンズについて
水晶体の代わりに挿入する眼内レンズにつきましては、各種検査を行い、患者様とも相談しつつ、ライフスタイルに合ったレンズを決定してします。
手術当日までの流れ
- 手術1週間前まで
- 眼内レンズの度数を決めるための各種検査や、術前検査を行います。また手術に関する説明を行い、使用する眼内レンズの種類についてのご相談も行います。
- 手術3日前
- 手術の3日前より、手術する方の目に朝・昼・夜と1日3回、点眼していただきます。手術当日は2回のみの点眼となります。
- 手術前日
- 手術後は一定期間、入浴・洗髪・洗顔ができなくなるため、前日に済ましておくようにしましょう。食事に関する制限はありませんが、アルコールは控えるようにしましょう。
- 手術当日
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- 決められた時間にご来院ください。来院時間は手術開始時間より前に設定させていただきます。
- 院内に滞在していただく時間は、1時間~1時間半が目安となっています。その間、患者様は院外に出ないようにしていただきます(付き添いの方はその限りではありません)。
- 手術の際は、心電図や血圧計を装着しますので、上着等、厚手のものを脱いでいただくことになります。また消毒薬などが付いてしまう可能性がありますので、手術の際は襟のない、あるいは汚れてもいい服でお越しください。
- 目の周りのお化粧はお控えください。
- 当日の食事制限もありませんので、ご来院前に軽くお済ませください。
手術後の注意点
- 眼帯は翌日まで装着ください。
- 手術後、痛み止めを処方しますので、もし痛みがあれば服用してください。
- ゴロゴロした感じやしみる感覚が生じる場合もありますが、数日で収まります。
- 術後に点眼薬(3種類)を処方します。翌日より医師の指示に従って点眼してください。
- 術後に視界に異常が起きたり強い痛みや充血などがみられたら、必ずご連絡ください。
術後1週間は、感染への注意が非常に大切です。入浴・洗髪・洗顔については、手術当日はできません。翌日は首から下のシャワーが可能です。術後3日には入浴や髭剃りが可能ですが、目に水が入らないよう気を付けてください。術後6日目では入浴の他、洗髪・洗顔も可能になります。
テレビの視聴や読書、家事、ウォーキングなどの軽い運動(汗をかかない程度のもの)は翌日からでも可能ですが、車やバイクの運転、化粧や散髪、ペットとの接触、汗をかくような運動、旅行、喫煙や飲酒等は、術後6日までは控えた方か良いでしょう。6日目以降も、個人によって注意が必要な場合がありますので、医師にご相談ください。
術後2週間~1カ月で、多くの場合、視力が安定してきますので、眼鏡を作るのはこの時期以降が良いでしょう。水泳やサウナなども可能になります。点眼薬は1種類になりますが、術後3カ月まで点眼は続けます。
合併症について
後遺症が残りやすいもの
- 眼内炎
- 発生の確率は2千人に1人と言われています。細菌が感染し炎症を起こすもので、放置すると失明の危険があります。傷口が感染に塞がらないうちは擦らないなど要注意です。
- 駆逐性出血
- 発生の確率は数千人に1人と言われています。手術中に突然目の奥で急激な出血が起こるものです。すぐに手術は中止となります。場合によっては失明に至ることもあります。
後遺症が残りにくいもの
- 角膜浮腫
- 手術の影響で角膜の透明性が低下する場合があります。ほとんどが一時的なもので、次第に回復していきます。
- 嚢胞様黄斑浮腫
- 手術後に視覚を担う網膜の重要な部位である黄斑に、むくみ(浮腫)が出て、視力が低下してしまう場合があります。多くは点眼治療やステロイドの投与によって改善します。
- 眼圧上昇
- 手術の影響で、一時的に眼圧が上がる場合があります。多くが点眼薬や内服薬で改善します。緑内障などの病気がある場合起こりやすく、逆に続発性の緑内障を引き起こす場合もありますので注意か必要です。
万が一、合併症が発生した場合も、適切に対応すればリスクを大きく低減できます。術後に視界に異常が起きたり、強い痛みや充血などがみられたら、必ずご連絡ください